流行はめぐりめぐってくるものか?

昨日のテレビ出演に関しては、メールを頂いたり、放映直後にお電話を頂いたりしました。御礼を申し上げます。

私がこの業界に入りました二十数年前。当時勤めておりましたショップの店長に「ファッションと言うのは10年勤めないと分からない、10年でちょうど一回りする。」と私にとってとても印象深い言葉を頂いたのですが・・・

そして10年経った十数年前、そしてそれから十何年も経った今、一回りはしませんでした。

と言うか何年経ってもまったく同じものは現れていないのが現状です。スラックスが太くなったとか細くなったとか、衿巾が狭くなったとか、広くなったとか、洋服のノーベンツがサイドベンツやセンターベンツになったとか、そういうディティールが一回りすることはありますが、組み合わせが違います。

また、色でもかつてビジネスマンは紺のスーツと決まっておりましたが、昔の紺はかなり明るい紺でした。今は黒と見分けがつかない紺色となっております。

ブラックスーツなどはかつては結婚式かお葬式にしかきなかったのに、普通に真っ黒なスーツを着ている人も沢山います。

昔のタブーが今は流行、トレンドとなることだって多い訳です。

15年ほど前にあるお客様にシングルのピークラベルの洋服を作ってくれと言われました。しかしその当時はピークラベルはWブレスト(Wの洋服)でしか見ることがなく、シングルのピークラベルは礼服にあるくらいでしたので、とても違和感がありましたがお客様にそのこともお話しし、それを含めて納得して頂き、それでもお客様が作れと仰るものを作った訳です。

ところがどうでしょう。最近はシングルのピークラベルはある意味トレンドでお洒落な人が着ていたり、トレンドの生地を使ったものにそう言うデザインが多く取り上げられるようになりました。

ある意味流行とは既存の着方を打ち破るところから生まれるものかも知れません。流行に限らず、時代を掴むものは常識を覆すことから始まるのかも知れませんね。まだまだ常識がある以上はそれを打ち破るところに流行が生まれるものかと思います。今の流行が20年後には常識的は着こなしになっている場合もある訳ですから。

20年経っても全て分かった訳ではなく、むしろ分からないということが良く分かった私でした。

お帰りにはブログランキングのバナーをポチっと押してランキングの確認をお願い致します。