スーツにリュック

服屋として一つだけ気になることがあるのです。

人のファッションをとやかく言うな。勿論その通り。

最近は多くの方のビジネスファッションにスーツにリュックを背負っている人が多いのですが、このスタイルをどうのこうの言うつもりはなく、ただスーツの肩にリュックのストラップが当たっていますし、リュックが動くのと同時に擦れてしまうのは間違いない。繊維はやはりこの擦れが一番良くないと思うのです。素材によっては特にビジネススーツでポリエステルウールなどはウール100%に比べると早く毛羽立ってくると思います。

勿論カジュアルなスタイルならいいでしょうし、それはそれでスタイリッシュなわけですが、ビジネススーツを守る為にもリュックはどうなのか?とも思います。ファッションスタイルをつべこべ言うわけではなく、スーツを扱うものとしてお話をしています。

IT企業という職業が生まれ、パソコンを持ち歩くことが多くなり確かにリュックは楽なのでそうなってきたのですが、もともとスーツにリュックを背負うということは想定されていないと思うのです。

例えばスーツにしてもシャツにしても劣化から守る方法をとっているわけです。当店もそうですが、オーダーシャツやオーダースーツを作られるお店ではシャツの袖の長さやカフスの長さでできるだけ長持ちをして貰うように仕立てているわけです。

例えばよくシャツの長さはスーツの袖よりも1センチほど長くと言われるじゃないですか。あれはスーツの袖口をシャツで守るわけで、それじゃあシャツが犠牲になるじゃないか?と仰られるかも知れませんが、スーツの価格とシャツの価格は大きく違います。

シャツも工夫をしていて、オーダーの場合は左に時計をしていれば、薄い時計で5ミリ、厚い時計だと1センチ、時計をしている方のカフス周りを大きくします。どうしても時計はカフスに当たってしまいますが、大きさを変えることによって、そのダメージをできるだけ少なくしようとしているわけです。アップルウォッチの場合は1センチ大きくしています。

昔からファッションには意味があるので、少しでも分かって頂ければ幸いです。

そう言えば女性でスーツにリュックを背負っている人はほぼ見かけませんしね。やはり手に下げるバッグにしませんか?

今日は上の話題とはちょっと違いますが。

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クレリックカラーのシャツ。もともとは聖職者が着用していたことが由来ですが、それ以外に衿を取り外し式にして衿だけを洗濯できるようにしたというルーツがあります。

当店でも何度かNHKの朝ドラの衣裳を作らせて頂いていますが、「制作実績」リンク先に今までの制作実績を掲載させて頂いています。次回放送の「あんぱん」のシャツもお作りさせて頂いています。

この取り外し式の衿というのが「並衿シャツ(衿着脱式)」リンク先にあります。

このように昔は洗濯事情もあり衿を取り外ししたわけでございます。

今では衿を外してまで洗濯する人もいないので、デザインだけが残っているわけです。

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そのデザインを更に今に合わせてお作りし、衿の首に当たる所とカフスの裏を白ではなくストライプにしています。

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ボタンホールも白、もしくは濃色の生地の場合は縫い糸と決まっていましたが、ボタンホールを色糸にしアクセントを付ける場合もあります。

一般的にはボディの部分はボタンホールを生地と同色にし、白の部分は白にする場合もありますが、このようにボタンホールを色糸にしてアクセントにするデザインもあります。

変えてはいけないこともありますし、今の時代に合わせて変えていった方がお洒落を楽しめるという場合のではないでしょうか。

今日は長くなってしまいました。申し訳ありません。


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